Honda Minoru (age31)
東京都足立区出身。中学卒業と同時に、足立区の防水シーリング会社高崎工業に入社。趣味はないが、一人でふらりと気になった店に入る飲み歩きが好き。恋人と同棲して2 年。今回は東京を3週間離れた出張で倉敷の現場に入った。職人歴15 年。
INTERVIEW
東京都足立区出身。中学卒業と同時に、足立区の防水シーリング会社高崎工業に入社。趣味はないが、一人でふらりと気になった店に入る飲み歩きが好き。恋人と同棲して2 年。今回は東京を3週間離れた出張で倉敷の現場に入った。職人歴15 年。
Chapter 1
中学を卒業すると同時に、地元の先輩が紹介してくれた今の防水工事の会社へ入りました。16歳ですね。最初はやっぱりつらかったけれど、いつのまにか慣れちゃってましたね。
中学生がいきなり大人の世界に入るのですが、卒業と同時に現場に入る同級生が多かったので、ぜんぜん不安はありませんでした。最初は掃除ばっかりしてました。それと材料運び。教えてもらいながら、だんだん現場で仕事を覚えていきました。
とはいえ、入って2~3か月で辞めちゃいました。15〜6歳で若かったんで、地元の友達とカラオケに行ったり、遊び優先になったんですね。それで型枠大工を2年くらいやって戻ってきました。
型枠は、コンクリートを流し込むための枠を作る基礎工事の仕事です。防水は仕上げですよ。やっぱり自分には防水工事の方が
向いていると思いました。型枠は現場がなんというかバタバタしていて、荒っぽい人が多かったかもしれません。
仕事が楽しいなあと思い始めたのは、5~6年経ってからですかね。一人で現場を任されるようになってから。リムスプレーという機械で、均一に2ミリから3ミリのゴムの膜を吹き付けるのですが、仕上げなので美観も大切です。吹き付ける前の材料は、60℃くらいに熱した溶けたゴムなので、けっこう熱いんです。靴に吹き付けが飛ぶと、ゴムの溶岩でできた靴みたいになって、普通の人が見ると驚くかもしれません。
現場は、ビルの屋上から一般住宅のベランダのような小さな現場まで、いろいろやってます。
Chapter 2
彼女と同棲してます。一緒に暮らし始めて2年くらいですかね。彼女とは東京足立区の飲み屋さんで知り合いました。足立区というところは、ビートたけしの実家があった場所です。
僕らの会社は東京の足立区で、じつは今回倉敷へは、出張で来ているんですね。地方への出張はちょこちょこあるんですが、こんなに遠いのは珍しいです。知らない町へ行くのは好きだし、倉敷は思ったより栄えたきれいで良い所なんですが、でもさすがに3週間は長かった(笑)。 ちょうど今日、これから帰るところなのでホッとしています。
この現場はすごいですよ。全国から業者が集まって来ています。ぼくらは東京からですが、名古屋、福井、愛媛など日本全国から同業者が集まってます。各地の会社のやり方を見ていると、「へえそんなやりかたをするんだ…」と感じることもありますね。
スプレーを吹く前に塗る接着剤=プライマーの塗り方だったり道具だったり。うちの会社は吹き付けるのですが、見ているとほかの会社の職人さんは、屋根のスレートの形に合わせたローラーで塗っていたりする。もちろんそれぞれ皆さんプロなんで、立派な仕上がりになるのですが、いろんなやり方があるんだなあと、今回は勉強になりました。
Chapter 3
趣味がないんです。ギャンブルをやるとか釣りに行くとか、スポーツを応援するとか、普通の人の趣味のようなものがまったくないんです。
あえて言うならお酒を飲み歩くのが好きで、気になったお店に、ふらっと一人で入るのが好きです。倉敷でも行きましたよ。同じ会社から来た4人の仲間と名物のサワラを食べましたね。でも観光ではなく仕事で来ているので、そっちがメインにはなりません。いつもは仕事仲間とは、足立区にある北千住という有名な飲み屋街や綾瀬に行ったりします。
この仕事の楽しさは仕上げがときに、「きれいになったなあ」と思える気持ちです。最後に現場を眺めたときに「やってよかったな」と思うときに満足感があります。
きれいな現場を作る上で、僕らは吹き付けをするので、材料の飛散を防ぐための養生は大切です。たぶん、塗装屋さんと僕らの養生は、まるっきりやり方がちがうんですよね。塗装屋さんは丁寧に細かくその場その場を守っていくと思うのですが、僕らは外に飛散させないように内側をしっかりと囲む養生です。求められるのが正確さと速さであるのは、一緒だと思いますけれども。
いま10代の若い子達が新人で入って来たときには、教えますが、自分のやり方を押し付けないようにしています。自分で考えて仕事ができる職人になって欲しいですね。
掲載日:2022年1月14日
今回は、仕事仲間4人と倉敷へ3週間の出張現場。全国の同業者の仕事を見るのは勉強になります。