Hirai Isamu (age41)
平井工業代表取締役社長 1976年11月2日、大阪府生まれ。中学卒業の頃、姉の紹介でシール職人の親方と知り合い、防水・シーリング工事の仕事を始める。2006年に株式会社平井工業を設立。現在、社員は10名
INTERVIEW
平井工業代表取締役社長 1976年11月2日、大阪府生まれ。中学卒業の頃、姉の紹介でシール職人の親方と知り合い、防水・シーリング工事の仕事を始める。2006年に株式会社平井工業を設立。現在、社員は10名
Chapter 1
この仕事に就いたのはたまたまなんです。中学卒業後、バイト生活をしていたんですが、姉にバイト先の居酒屋のお客さんを紹介されて……その人がたまたま、シール屋、シーリング職人の親方だったんです。この仕事が自分に向いているかどうかなんて、まったくわからなかったんですが、とりあえずやってみないとわかりませんから、見習いとして入りました。
仕事に就く前、防水・シーリング工事なんて、どんなことをやるのか、まったく知りませんでした。でも、この仕事は毎日、違う現場なことが多いですし、いろいろな人にも会えるので、楽しかったんです。
それに、やったことのないことを覚えていくのもおもしろかった。それまでのバイトの仕事とはまったく違ったんです。結局、25年以上続けられているんですから、ラッキーなことに、偶然、自分に向いていたんだと思います。
Chapter 2
見習いの頃、テーピングばかりでやっていた気がします。防水・シーリング工事は隙間にコーキング材(シーリング材)をコーキングガン(シーリングガン)で充填するんですが、テーピングがひとつの勝負になるんですよ。
スピーディにきれいにテープを貼っていけると、すごく気持ちがいいんです。サイディングボードなどの壁材の表面は凹凸があることが多いので、ていねいにやる必要もあります。また、壁材によって、粘着力や素材の強さなどで最適なマスキングテープを選ばなければならないんですよね。うまく貼れないと、うまく充填できないし、仕上がらない。
コーキング材はシリコンやポリウレタンなどの合成樹脂、合成ゴムが素材なので、充填すると表面がもこもこするんです。それを「ヒゲ」というんですが、仕上げヘラできれいにならしていく。テーピングがうまくいくと、すべての工程がスムーズに進んでいくんです。わりとすぐにコーキングガンでの作業もやらせてもらえるようになりましたが、改めてテーピングの重要性に気がつきました。
Chapter 3
仕事を始めて3年、18歳くらいになると、ひととおりの仕事はできる自信を持てました。24歳で独立、30歳の年に平井工業として法人化しました。現在、社員は10人。20歳から41歳でわりと若い職人が多いですね。
いまは新築よりも、改装リフォームの仕事のほうが多いですね。もちろん、水漏れ対策の防水・シーリング工事もありますが、新築現場でなければ、コーキング材を専用のカッターやスクレーバーなどのヘラ、ペンチで削ぎ落とす工程が加わります。壁面を傷つけないように慎重に作業をしなければならないのでたいへんなんですけれど、改装リフォームの現場はお客様の顔が見えるぶん、勉強になりますね。
戸建て新築なら1日で終わることもあるんですが、高層マンションの大幅改修など、1年がかりの現場もあります。足場は組めませんから、ゴンドラでの作業になりますが、ゴンドラ操作の特別教育を受けて、資格がなければ操作はできません。それに、真夏や真冬はさすがにきついですね(笑)。
Chapter 4
今後は……とにかく、若い人たちが楽しく働けるようにしていきたいですね。ボクの場合、たまたま親方が腕のいい職人で、ていねいに仕事を教えてくれました。例えば、昨日は10mだったのに、今日は20mできた……この仕事はスキルアップが目に見えて、わかりやすいところがあるんです。ですから、自分自身、明日のことを考えて働くことができました。
ボクも若い人たちにそういうふうにしていきたいし、それが続いていくことが理想であり、目標なんです。会社も大きくしたいですが、そのこと自体を目的にするのでなく、結果として、大きくすることができれば、と考えています。
経営的な仕事もありますが、いまも月の半分は現場で働いています。やっぱり、この仕事が好きですし、職人であることがボクの原点ですからね。体が動く限り、現場で働きたいと思っているんです。
掲載日:2018/08/20
若い職人たちをきちんと育てていきたい