Goto Masaru (age41)
1981年8月13日、福島県生まれ。塗料会社の営業職、塗装監督を経て、塗装職人に。現在は株式会社アクティブ
(https://active2007.jp/)の代表取締役を務める。震災の影響で避難した経験を持ち、塗装の技術で震災からの復興半ばである福島の役に立ちたいという志を持つ塗装職人である。
INTERVIEW
1981年8月13日、福島県生まれ。塗料会社の営業職、塗装監督を経て、塗装職人に。現在は株式会社アクティブ
(https://active2007.jp/)の代表取締役を務める。震災の影響で避難した経験を持ち、塗装の技術で震災からの復興半ばである福島の役に立ちたいという志を持つ塗装職人である。
Chapter 1
私が塗装業界に入った経緯は、少し変わってるんですよ。仕事を探していた23歳のときに、リンペイさん(塗料の製造販売などを行なっている株式会社リンペイ)が物流と営業の募集をされていました。
人と話したくなかったので(苦笑)、物流で入社したんですが、当時の上司から「営業のほうが向いているから、営業をやれ」と言われて、営業になったんです。営業として双葉郡の担当になりまして、そのとき株式会社アクティブの前身となる後藤塗装も営業先のひとつでした。それが、今の妻と知り合うきっかけになりまして。
その後、私は縁あって塗装の監督をやっていましたが、そのときには仕事上の関係でなくなったこともあって、妻と仲良くなって結婚することになりました。
妻は後藤家の三姉妹の長女で、後藤家のことを考えたら私がお婿さんになったほうがいいのかなと考えて、後藤家、そして後藤塗装に入ることになったんです。
私が結婚した2007年に後藤塗装は、株式会社アクティブとして法人化しました。震災の影響もあって休業してるんですが、義父母の希望で介護の仕事もアクティブとして行なっていました。私もヘルパー2級の資格を持っています。
Chapter 2
塗料の営業と塗装の監督をやりましたけど、塗料に直接触るということはありませんでしたし、アクティブの人間になってから改めて塗料や現場の施工について勉強しました。
アクティブではいずれ会社を継ぐという立場でしたが、それもあって「こんなこともできないんだ」「後継ぎなのに」「監督もやってたんだよね」と職人として仕事ができないと見られるのがつらかったですね。
だから、現場一つ一つで、一緒にやっている職人さんの仕事をしっかりと見るようにしました。2011年の震災前ぐらいには現場も任せていただけるようになって、その頃には技術が身についてきたなと思うようになりました。
やはり震災の影響は大きかったですね。避難のためいろんなところに移り住んで、いわき市に来ることになって、今も避難中なんです。いわき市では、当然ながら先代の人脈がなかったんですよ。だから私がやるかと思って、一から開拓していきました。
一級建築施工管理と一級塗装技能士の資格をとって現場も自分でこなせるようになり、もともと商工会には入っていましたが、商工会青年部や青年会議所(JCI)、地域連携団体(HAMADOORI13やOkumaLead)といったものにも所属するようにしました。
そうしたことでネットワークを作ることができたんです。おかげで、仕事を塗装からだけではなくて、建築全般から見ることができるようになりました。それはアクティブの強みかなと思います。
Chapter 3
アクティブの事務所はいわきにもあって、そちらの方がメインです。こちら(双葉郡の事務所。今回の取材場所)の方面の仕事も多いので、事務所があった方がいいのかなと思って作りました。
事務所はDIYで全部私が一人でやったんですよ。畳も敷いて、横になったり、漫画を読んだり、ちょっとお酒も飲んだりとリラックスできます(笑)。
妻はもともと会計事務所で働いていたこともあり、アクティブでは経理を担当しています。妻は「経理を手伝うよ」と後藤塗装に入ったのですが、忙しくなると現場に出てローラーや刷毛を持つようになって、私が営業時代に知り合ったときは完全に職人の格好でしたね。
子供は高1と中3の娘が2人です。休みの日には家族みんなでカフェに行ったりしてますよ。娘はお笑いが好きなので、お笑いの話をしたりしています。
私は聞いてるだけですけど(笑)。
趣味は、体のメンテナンスですかね。月に一度、東京に行きまして、鍼灸師の鍼を受けているんです。震災後、人がほぼいない状態で無理して自分で仕事をしたっていうのもあったので、意識して体のメンテナンスをするようにしています。
今は避難していわき市に住んでいますが、結婚後は双葉郡の大熊町に住んでいたんです。大熊町には「みんな仲間」というような温かいつながりがありました。一生、ここでやっていこうと思いましたね。
その大熊町を含めて、福島県の浜通りはまだ復興半ばなんです。避難解除になって自宅に戻るとしても、手入れをできず家がそのままの状態だったりしますから、塗装をはじめとした様々なリフォームで何かお役に立てればなと思っています。
今回の取材でお世話になった方々との記念撮影。左から、株式会社リンペイの里見健太さん、後藤さん、大塚刷毛製造株式会社の有阪章さん。
掲載日:2023年6月19日
塗料会社の営業マンからスタートして、塗装会社の社長に。