INTERVIEW
1980年7月20日、東京都生まれ。14歳のときに塗装業界に入る。ゼネコン・ハウスメーカーなど様々な現場を経験して、2011年に独立・開業。現在は株式会社眞愛（https://www.nurishin.com）の代表取締役を務める（屋号は「しんあいペイント」として活動している）。職人として、一級塗装技能士、雨漏り診断士、FROSIO表面処理検査員、二級建築施工管理技士などの資格を持つ。FROSIO表面処理検査員は国際資格で、建築関係で国内で有している人はごくわずかなのだとか。
Chapter 1
中学校２年のときから塗装の世界で働いています。塗装以外にも、解体、型枠大工、足場鳶など色々な現場仕事をやって、工事の一連の流れを学んでから再び塗装の仕事をするようになりました。
ある現場で、築40年ぐらいの古い家の塗装工事を終え、養生をはがして足場を解体したときに、工事前とはまったく違う様相になってきれいになったことに驚いたんです。これはすごいな、塗装を追求していきたいなと思いました。
ただ、駆け出しのころに入った会社が孫請けぐらいの仕事をする会社で、下塗りをせず、いかに手を抜くかを考えているような会社だったんです。私は自分でメーカーに電話をかけて、「下塗りとは何のためにやるんですか？」と聞きつつ、理解しながら仕事をしました。
自分としては納得できない仕事をする会社だったので、そこを辞めて何回か会社を移りました。ちゃんとした会社に入りたいなと考えていたら、某準大手ゼネコンの一次下請けをやっていたところを先輩に紹介してもらって、そこに所属したんです。
16～17歳ぐらいから職長で現場に入るようになって、数百人規模、多いときは各業種含めて2000人ぐらいの規模の現場にも入りました。当時は、規模の大きな仕事に楽しさや誇りを感じていましたね。それとは逆になりますが、今はすべて私の目が届く形で、全部自社で作業を行なうことにやりがいを感じるようになりました。
Chapter 2
苦労した仕事ですか？ 独立前の20代半ばの話なんですが、ヨーロッパの某ハイブランドが日本に出した店舗の仕事があったんです。当初、私自身は参加してなかったんですが、何回やってもヨーロッパ本国からダメ出しをされる。そこに私が投入されたんです。
光の射すバランス、影のバランスなどを考えながら、パテ処理の凹凸、ローラーの継ぎ目を出す場所などを考えたらうまく行き、そのブランドからも仕事を評価してもらえました。
それまでダメ出しされていた職人さんたちも技術的にうまい人たちだったんです。ただ、私は現場で考えて考え抜いたんです。だから、うまく行ったんだと思います。そういう風に他の人がやりたがらない仕事もたくさんやってきたんですが、それは逃げたくないからです。今まで仕事で諦めたことはないと記憶しています。諦めたのは苦手なワカメを食べることぐらいですね（笑）。
独立したのは2011年です。神奈川県のほうで働くことになって、ほとんど知り合いもいなくて、東京に尻尾を丸めて逃げ帰ればよかったのかもしれませんが、そこでも逃げたくないと思ったんです。ここで勝負してみたいと感じました。
最初は地元・東京のお客様からの仕事や、下請けの仕事が中心でしたが、ここ４年ぐらいは私の会社、眞愛が元請けとなる直接施工の仕事のみを基本的にやっています。手抜きが絶対に嫌なので、１から10まで目が届く形で作業を行なっているんです。
Chapter 3
眞愛の得意分野は、全面的雨仕舞工事です。「雨漏り110番」という修理業者のネットワークにも加入しています。私個人の職人としての得意分野は“絵”ですかね……。以前、格闘技道場の建物のオーナーさんから「壁に龍神の絵を描けないか？」と言われて、描けませんとは言えませんから挑戦しました。
最初は「畳一畳分ぐらいのサイズで」と言われたんですが、恐らく永く残るものなので、龍と虎を可能な限り大きく描きました。子供のころ絵は好きで描いていたんですが、あれはよく描けたなと自分でも思いました。
あの龍虎の絵がきっかけで、他にもいろんなところで仕事として絵を描かせていただきました。人物が入っていない、山水画のような風景画を描くことが多いですね。
趣味ですか？ 仕事を追求することが趣味みたいなもので、趣味らしい趣味はありません。基本的に仕事以外のことをやる時間はないですね。この数年は１日２～３時間しか寝ていない程、仕事に関する考案や取りまとめ等をしています。
以前は他社よりも予算がかかる眞愛のことを理解してもらえないこともあったんですが、今は納得してくださるお客様が増えました。しんあいペイントのホームページにも私の考え方などを書いていますので、それを知っていただいた上でジャッジしていただきたいですね。
掲載日：2022年10月21日
手抜きは絶対に認めない！すべて自分が納得できる形で仕事を行ないたい。