Sakamoto Koshiro (age58)
1965年2月16日、大阪府生まれ。高校卒業後、塗装業を営んでいた父親のもとで塗装職人としての道を歩き始める。2002年には自身の会社である、有限会社グラス・サラを立ち上げる(https://grasssara.jp/)。一級塗装技能士のほか、雨漏り診断士、住宅外皮マイスターなどの資格を持つ雨漏りのスペシャリストであり、厳格な基準をクリアした者だけが加盟できる「雨漏り110番」にグラス・サラは加盟している。
INTERVIEW
1965年2月16日、大阪府生まれ。高校卒業後、塗装業を営んでいた父親のもとで塗装職人としての道を歩き始める。2002年には自身の会社である、有限会社グラス・サラを立ち上げる(https://grasssara.jp/)。一級塗装技能士のほか、雨漏り診断士、住宅外皮マイスターなどの資格を持つ雨漏りのスペシャリストであり、厳格な基準をクリアした者だけが加盟できる「雨漏り110番」にグラス・サラは加盟している。
Chapter 1
生まれも育ちも東大阪です。父親が東大阪で坂元塗装店という塗装屋をやっていて、高校を卒業してから父の下で働くようになりました。
中学ぐらいから、たまに父親の手伝いはやってましたけど、塗装の世界に進もうとは思ってなかったんですよ。建築デザイナーをやりたくて、高校も建築科に行ってたんです。
ただ、もともと継ぐ予定やった弟が父親とうまいこといけへんようになって、弟がやめてしまったんです。で、自分が手伝うことになりました。自分の思いと違ったんで、正直、悩んだこともありましたね。
父親の仕事を継いだのが30歳ぐらいで、グラス・サラを立ち上げたのが2002年です。グラス・サラという会社を作ったのは……言うてええのかなあ、バブルがはじけて父親の会社(坂元塗装店)がうまくいかなくなったんですよ……。
それで、父親の借金を肩代わりして、僕が引き継いだんです。そんなとき、その事情を全然分からへんかった父親の友人に「坂元塗装店の2代目」と呼ばれて、それが自分の中ですごく違和感があったんです。
もちろん、その人に何か悪気があったわけではないんですけど、仕事も職人も全部自力で新しくして、ようやく形になったところでしたから、心機一転して坂元塗装店を閉めて、グラス・サラを立ち上げたんです。
Chapter 2
グラス・サラという社名は「飲み屋のお姉ちゃんの名前みたい」って言われるんやけど(笑)、グラスは雑草という意味で、「雑草のように目立たない仕事でもきちっと仕上げていく」という思いを込めています。
会社のロゴマークは月と雑草がもとになっていて、月が欠けていくのは嫌やから、満ちていくほうの月にしています。
今までで印象に残っている現場ですか? 名前は出せないんですけど、由緒のあるお寺の塗装を施工した時かなぁ。たとえば、金箔がある部位は養生テープは使えないんですよ。完全にフリーハンドで、塗料を下に垂らしてもいけないという、すごいプレッシャーです。
腕自慢の職人さんを連れていっても「もう勘弁してください」と言うぐらい、シビアで技術のいる現場を長い間施工していました。
グラス・サラは雨漏り関連の仕事がメインなんですけど、そちらのほうで印象に残ってるのは紛争案件ですね。雨漏りして紛争中の案件を一級建築士さんと自分で調査に行って、雨漏りの原因を調べるという仕事も請負っているんです。
散水調査で、雨水の浸入口と浸出口を確認して、実際に試験水をかけて雨漏りを再現して、「この建物は確かに雨漏りしてますよ」ということを証明するんです。
Chapter 3
趣味は特にないですね。そんなことしてる暇がないくらい必死でしたし、趣味で気晴らししなくても僕はストレス溜まらないんです(笑)。息子たちがちっちゃいころは、子供たちの空手の試合を見に行ったり、練習を手伝ったりしてましたけどね。
僕自身も剛柔流の空手を10年ぐらいやっていて、息子2人は正道会館で空手をやってたんですよ。上は大学院を卒業してシステムエンジニアをやっていて、下のほうは19歳ですけど、どちらにも仕事を継いでほしいとは思わなかったですね。
上の子が中学のときに、嫁が「勉強せえへん」って文句言うとったんで、夏休みにアルバイトで仕事を手伝わせたことがあったんですよ。一番暑い時期に立体駐車場の現場に2週間連れていって、こっちもしんどかったんやけど、そういうのは見せんようにして。
終わってから「お母さんは勉強せえゆうとるけど、別に俺はかまへんから。勉強が嫌やったら俺の仕事継ぎや」って言ったら、息子は「いやいや、勉強するわ」って答えてましたね(笑)。
目標ですか? そんな大層なものはないかなあ。まあ、目の前の仕事をしっかりこなしたいですね。特に雨漏りの仕事では、本当に困ってる人たちの役に立ちたいと思ってます。
掲載日:2023年4月14日
雑草のように目立たない仕事でもきちっと仕上げていく。