INTERVIEW
1976年2月27日、和歌山県生まれ。集中豪雨に日常的に襲われる和歌山県では、厳しい防水体制が求められる。県民の家屋を守り続ける津本さんは、中学卒業と同時に現場に立った。昼は現場、夜は定時制高校の修行時代。気付けば職人歴32年の人生がある。防水に関わるあらゆる資格を所持しつつ、高性能サーモグラフィーカメラを県下でいち早く導入。熟練の職人の勘+技術×調査機器を駆使する施工で、絶大なる実績と信頼を勝ち得ている。趣味は大物釣り。キハダマグロを一日で6本釣りあげたこともある。和歌山県防水事業協同組合理事。津本防水工業 https://www.tsumotobousui.com/
Chapter 1
中学を卒業すると同時に、防水の現場で働きはじめた。昼は現場、夜は定時制高校という生活だ。大工になろうと思っていたけんが、人に相談したところ、「これから伸びるのは防水だ。そっちの方がいいんじゃないか」と、修行先を紹介してくれた人がいる。
「防水…？」 中学生のわたしが、〈防水〉という仕事を知るわけもない。現場に入って初めて、「雨漏りを止める仕事か…」と知った。家を建てる大工さんのような華やかさはないが、少年だった自分は、「これ面白い仕事だぞ！」とすぐに気が付いた。
和歌山は昔から台風や集中豪雨が凄いことで知られる。他県なら数十年に一度という記録的な豪雨に、毎年のように襲われる。バケツを返したような豪雨に打たれると、屋根や壁や、些細な経路を伝って水が侵入してくる。これは和歌山に暮らす人達の悩みだと肌身に染みて知っている。
防水の仕事は重要だ。原因不明の雨漏りを調べ、高圧で散水実験をして、あるいは高性能のカメラで科学的に調査したり。徹底的に原因を突き止めて対策を施工する。次の大雨が来たときに答えがわかる。
「雨漏りが直ったよ！ ありがとう」 お客さんが驚き喜んでくれた時に、堂々と胸を張れる職人でありたい。まるで難病を治すお医者さんだ。経験がものをいう、職人らしい世界でもある。仕事をしてお金をもらって、感謝して喜んでもらえる。
眩（まぶ）しいくらいの職人ならではのやりがいが、雨漏り修理にはある。
Chapter 2
時代は90年代。10代だったわたしは、シート防水から覚えてFRPやウレタンなど、会社を変わりながら、新しい工法や技術を身に付けていきました。どこも良い会社で、いろいろな勉強させてくれた。塗装、コーキング、屋根、サイディング…。覚えられるものは何でも積極的に身に付けていった。
そして平成16年。26歳の時に満を持して独立だ――。中学を卒業してから、実に11年の月日が経っていた。
独立の時は、「この時を待っていたぞ！」という気持ちに奮い立った。身に付けた技術や経験を活かして、すべての責任を背負って思う存分に仕事がしてみたい。気心の知れた腕の立つ職人と同じ現場に立ち、そういうなかで利益率を上げていきたい。
Chapter 3
カモ井さんとの出会いは、今だから言えるが、クレームからだ。忘れもしないテープ＜２４６-S＞。「糊が残るぞ」 一面識もないわたしが本社へ電話すると、すぐに若手の人がすっ飛んできてくれた。ううむ、対応が早くて丁寧な会社だな。驚いた。その丁寧さは、わたしがお客さんへみせる対応と一緒だ――。信頼を感じた。
それが縁で、いまでは新製品の開発や、防水現場での使い方など、ユーチューブ動画の作成にも協力している。宣伝するわけではないが、「ルパンクーペは防水できれいに切れるぞ」とSNSと口コミでカモ井さんと一緒に広めたのは、わたしだ。一緒に現場を作っている。そういう仲間意識をカモ井には感じている。
家族は嫁さんと娘が３人。下から小学生、高校生で長女は成人している。家に帰ると女ばかりなので、ちっちゃくなってるというか、夕食後に食器を片付けるのはわたしの仕事です。
家族で旅行するのは、なによりの楽しみだ。このあいだは京都の夕日ヶ浦温泉へカニを食べに行った。その前はディズニーシー、その前はディズニーランド、その前は城崎。嫁さんと交代で車を運転しながら楽しい休暇だった。
趣味は釣りだ。狙いはキハダマグロ。生のキハダマグロは旨い！ 12～3キロの中型しか釣ったことはないが、大物は60～80キロになる。しっとりして味が濃い。一度に6尾釣ったときは大変だった。そして、去年から始めたのがクエ。まだ釣れていないが、大物狙いの釣りが好きだ。
去年、和歌山県の防水協同組合の理事に就任した。自分の仕事のことだけでなく、これからはますます業界の信頼と発展、技術の向上のために力を尽くすつもりだ。「さすが、豪雨で知られる和歌山の防水は日本一だ！」と胸が張れるよう、これからも精進していく所存です。
掲載日：2023年4月14日
台風や集中豪雨が日常的に襲って和歌山県では、最高水準の防水が求められる。