Tsuboi Mariko (age34)
1990年8月1日、埼玉県出身。美術系の大学を卒業後、食品包装容器のメーカーでプロダクトデザイナーとして勤務。27歳のときに「もっと手を動かしたい」と考えてニシザキ工芸株式会社に転職した(https://www.nishizaki.co.jp/company/)。特注家具製作を行なう同社にて塗装職人として活躍している。
INTERVIEW
1990年8月1日、埼玉県出身。美術系の大学を卒業後、食品包装容器のメーカーでプロダクトデザイナーとして勤務。27歳のときに「もっと手を動かしたい」と考えてニシザキ工芸株式会社に転職した(https://www.nishizaki.co.jp/company/)。特注家具製作を行なう同社にて塗装職人として活躍している。
Chapter 1
ニシザキ工芸には27歳のときに入社しました。それまでは食品包装容器、お弁当とかの容器のことなんですけど、そういうもののデザインをしていました。学生時代は美術系の大学に進学して、プロダクトデザインを専攻していたんです。
ただ、デザインの仕事はパソコンに向かってることが多いんですよ。3Dプリンターで容器の試作品を作ったときにバリを取っていたら、そのバリ取りが楽しくて。机で仕事をするより、もっと手を動かしたいなと思ったんです。
ニシザキ工芸は求人情報を見て応募しました。求人情報には「縁の下の力持ち」的なことが書いてあって、その黒子的な感じに惹かれたんです。
私自身、前の会社で働いていたときから黙々と同じことをやり続けることが好きでした。同じことを1日中やるときも、対自分の戦いみたいな感じで、コツをつかんで最初の1個目より100個目をどれだけ早くうまくやるかみたいな挑戦が好きなんですよ。
ちなみに面接のときに「研磨がしたいです」って言ったら、それが印象に残ったみたいで受かりました(笑)。実はニシザキ工芸には、塗装というより研磨がしたくて入社したんです。研磨は地道に作業したらキレイになるところが好きですね。
Chapter 2
それまで塗装の経験があったわけではなくて、仕事で使うスプレーガンにも触ったことがなかったです。実際の現場で仕事のためのスキルを身につけました。私の場合、1人の先輩について、一通りのことを教えてもらいましたね。
ニシザキ工芸は家具を設計・製造・施工する会社なんですが、家具は大量生産のものではなく、オーダーメイドのものを扱っています。注文住宅などに合わせた家具です。
オーダーメイドなので複雑な形のものもあります。塗る前に「最初にここを塗って、次はここを塗って、最後にここを塗る」という段取りを決めて塗らないといけないところが大変です。 新人だった頃は先輩と一緒にやっていると「自分の仕事は遅いな」と痛感させられました。
丁寧にやること自体は時間をかければできるので、効率よくいかに速くやるかということを今も意識して作業しています。
最近新人さんが入ってきて、やっと「自分もちょっと速くなったな」と思えました。新人さんと一緒に作業するときは、私が指導することもあります。そういうときは、転ばぬ先の杖的な感じで最初に色々言うのではなく、実際にやってもらって軽く失敗したほうがインパクトが強くて、仕事をよく覚えるのかなと考えています。私自身、失敗したときに「どうしたらいいか」と自分で考えたのが勉強になったので。もちろん扱うのは商品なので、取り返しのつかない失敗はよくないですけど、カバーできる範囲の軽い失敗なら。
Chapter 3
趣味ですか? 趣味はないですね。休日はボーッとしてたいです(笑)。ただ、好きなものの範囲は狭いんですけど、「これだ」ってなったときは美術展に行くこともあります。
雛人形展は何回か行ってます。ちっちゃいもの、可愛いなと思って。ちっちゃいバージョンの婚礼家具とかもあってすごいなって。
職人としての目標は、先輩との距離が縮まらないので、少しでも縮めたいですね。ずっと背中を追いかけてるんですけど、常に先輩が前にいる。先輩は何が来ても大丈夫みたいな感じで、筆とガンを使って何もないところに木目を描いたりするような技術を持ってるんです。
私の場合、「どうすればいいんだ?」と思ったときとか、とりあえず周りに聞くんですけど、自分で「これはこうしたらできるようになる」と考えられるようになるための経験がまだ浅いと感じています。
何年ぐらいやれば先輩みたいになれるのかわからないんですけど、そういう技術を自分でも身につけたいです。
ニシザキ工芸の塗装スタジオにて。代表取締役の西崎克治さんと塗装部の職人の皆さんと。
掲載日:2024年11月6日
研磨の黙々とした作業に惹かれて塗装職人に。