Tatsuya Nakagome (age47)
1978年7月8日生まれ。父の定年と息子の卒業を機に起業。塗装を軸に、内装・造形・エイジング塗装へと技術領域を広げてきた。塗装と造形を組み合わせた提案で空間を仕上げ、技術の継承と現場力を大切に会社づくりを続けている。
INTERVIEW

1978年7月8日生まれ。父の定年と息子の卒業を機に起業。塗装を軸に、内装・造形・エイジング塗装へと技術領域を広げてきた。塗装と造形を組み合わせた提案で空間を仕上げ、技術の継承と現場力を大切に会社づくりを続けている。
Chapter 1
大誠を起業したのは、家族それぞれが迎えた人生の転機がきっかけでした。ちょうどその頃、父は60歳で定年退職し、息子は中学卒業で、共にこれからどうやって働いて生きていこうかを考えていました。そこで職人であるわたしが、「家族で働ける会社を起こして引っ張っていこう!」と決心したのです。むろん、わたしは塗装の職人ですから、そこを軸に会社ををスタートさせました。 といっても、もちろん父も息子も塗装の現場は未経験です。とくに、会社員だった父にとっては慣れない現場仕事は大変だったと思います。最初は屋根に上がることも難しかったですが、ローラー塗りや養生といった基本的なことを、一つ一つ覚えていってもらいました。60歳で初めて現場に出るーー。その職人なら誰もがその大変さが想像できると思います。頑張っていました。父が一生懸命に取り組んでいる姿は、わたしにとっても大きな励みになりました。
妻の存在も事業の成功には欠かせないものでした。妻は手先が器用で美意識があり、レジン作品の制作で力を発揮しました。 中学を卒業したばかりの息子も、モチベーションを持って取り組んでくれた。そんな家族の絆で船出したのが、大誠という、わたしたち家族の会社の特徴です。 家族で始めた会社ですから、当初は資本が乏しく厳しい状況でした。宮城県は冬は雪も降りますから、屋外の現場がどうしても減少します。塗装だけに頼らず、内装、インテリアと事業の幅を広げていったのは、生活を守るための選択です。県の補助金や助成金も活用して必要な設備を整えました。家族の生活の全てがかかっているわけですから、もう必死でした。
Chapter 2
起業から13年が経ち、その間に会社は大きく進化しました。塗装店としてスタートした会社は、他社との差別化を図るためにさまざまな分野へ仕事の幅を広げました。 妻が取り組むレジン製作は、いまや新しい事業の柱です。レンジ=エポキシ樹脂を型に流し込んでテーブルや看板、アクセサリーなど多様な作品を生み出します。レンジは作品性が強く、木の上に砂や色を配置して樹脂で固めた作品などは、店舗や個人からのオーダーで3万円から50万円以上の高価格帯の商品になります。 廃材や地域の名産品を取り入れることで独自のコンセプトを表現しています。ワークショップを通じて手頃な価格で提供していると、口コミでだんだん評判が広がっていきますね。 塗装と造形を組み合わせた提案で、戸建住宅や美容室の壁面などの内装を受注するなど、幅広い技術を持つ職人たちの横のつながりを積極的に構築してきました。
新しいことを取り入れる積極性が、わたしという職人の特徴かもしれません。 レンガ風の壁やコンクリート調の仕上げをエイジング塗装でリアルに再現してみたりもしています。そうした技術の習得は簡単ではなく、自分ひとりでやろうと思ったら、難しかったでしょうね。協力会社との連携で力のある職人さん達と共に実現してきました。さらにレーザー彫刻は、地元のお祭りのノベルティ制作などにも挑戦しています。 風通しの良い社風を大切にしています。「社長だから偉いわけではない」という信念のもと、スタッフの全員を尊重しています。 若い世代を育て、業界全体の若返りを目指しています。小中学生向けの塗装教室を開催する一方、技術の継承にも力を入れています。
Chapter 3
笑顔で人とつながり、信頼を築くことを心がけていますね。 地域の皆が集える会社を育てたい 家族同様大切にしているのが、地元との付き合いです。お客さんだけでなく、仕事の関係する人、地元の人など、誰が来ても気軽にくつろげる場所にしたいーー それが会社のコンセプトです。 外観は、ハワイのヒロ地区をイメージした水色とモルタルで仕上げ、訪れる人に温かみを感じてもらう事にしました。まるでカフェですね、よく言われます。スタッフや協力会社のみならず、商工会や地域の仲間を招いて、地元産の肉を使ったバーベキューなんかもよく開きます。皮膚が弱く虫刺されに悩まされながらも、野外バーベキューを楽しむ時間が、元気の原動力ですね。まあ大体は、マイクを持ってMCとして会場を盛り上げるのが役割ですね。
そういう口コミがきっかけとなり、ワークショップに人が集まり、最近はレンジ作品のオーダーが増えていますね。ふるさと納税の返礼品にどうだろうと思い登録も進めています。 レーザー彫刻は、元スタッフが導入した技術ですが、彼が退職した後も活用しています。そう言った分野は、将来へ向けてさらに広げていきたいですね。 家族を起点に、仕事や地域の多くの人達との笑顔のつながりを大切にしています。職人として、人間らしく生きていきたいな。未来への道しるべです。
掲載日:2026年2月16日
父は定年、息子は卒業。家族の未来を考えて一念発起で起業した。