Ohishi Shouhei (age24)
大石産業株式会社勤務 1995年11月14日、神奈川県生まれ。代々続く塗装会社、大石産業㈱の四代目として生まれ、育つ。建築系の専門学校卒業後、スポーツ用品関連の販売店を経て、2017年に入社。趣味はエアジョーダンのコレクション。収集したシューズは100足超。
INTERVIEW
大石産業株式会社勤務 1995年11月14日、神奈川県生まれ。代々続く塗装会社、大石産業㈱の四代目として生まれ、育つ。建築系の専門学校卒業後、スポーツ用品関連の販売店を経て、2017年に入社。趣味はエアジョーダンのコレクション。収集したシューズは100足超。
Chapter 1
家業であるうちの会社、大石産業㈱で働き始めて2年目になります。社長は父親で、ボクはその後継者ということになります。正確に言うと四代目の跡取りという自覚をもって、仕事に取り組んでいます。
それまでスポーツ用品関連会社で、営業の仕事をしてました。高校時代にバスケット部で、ナイキの靴の大ファンだったんですよね。エアジョーダン、エアマックス。人気のシューズを集めてました。ジョーダンだけで100足くらい持っています。ほとんど履かずに、箱に入れたままですね。
スポーツ用品関連会社での2年間は楽しかったです。好きなシューズを毎日見て、触って、新作がリリースされると社販で安くも買うこともできる。家の会社へ入ったのは、まず一つは「きちんと正社員として働く」という親との約束を果たしたかったから。
現場へ飛び込んで驚いたのは、やっぱり厳しかった。家が会社なので、小さい頃から現場には慣れ親しんでいるし職人一人一人もよく知っている。ところが、いざ仕事として現場に足を踏み入れると、「こんなに厳しかったっけな」と驚くほどでした。
うちの会社で働いている人は、職歴、社歴が長く、仕事ができる腕のいい職人さんばかりなんです。それまで毎日マニュアルに従って働いていた“普通の若者”としてのボクからすると、現場は驚きの連続でした。
同じ現場でも、昨日と今日でやることが少しずつちがいます。風が強いか弱いか。天候によって仕事の内容も変わってくる。「マニュアル通りにやっていれば一日が過ぎてゆく」ことがないことが新鮮でした。もちろん、ボクはまだまだです。自分なりに考えて動くことを心がけていかないといけませんね。服や髪や顔にペンキがつくのも、最初は気になりました。覚えることも多い。でも、これがボクの一生の仕事なんだ――と、この2年の間に、だんだん覚悟が決まってきました。
最初にやった仕事は、養生とペーパーです。と、一口にいうのは簡単ですが、まったくのド素人です。子供の頃から会社には出入りしているし、中学の頃から現場でアルバイトもしているはずなのに、じつは全然わかっていないことに気がついて、驚いたし、焦ったことを覚えています。
最初は、なんでも言われた通りにやっていました。テープもそれぞれの特性を、よくわからずに使っていた。そのうちだんだん、どういう目的でそのテープが製られて、どういう特性があって、どう使えば便利なのか―― 経験から身についてきました。言葉で説明されて覚えるよりも、実際に使った方が身につくことはありますね。
Chapter 2
今年で2年目ですが、資格は“足場作業主任者”“職長・安全衛生責任者”“高所作業車”“有機溶剤”を持っています。塗装に関しての資格はまだ一つも持っていません、これからですね。
いま、塗装の学校に通っているんです。神奈川県塗装協会の塗装技能訓練校で、教えてくれる先生は現役の職人です。どの授業も実践的で、身に付けたらプラスになることが多くてためになります。
そして――塗装学校へ通っていいことは、年齢の近い仲間ができることです。ボクと同じような境遇の跡取り仲間と学校で出会うことができました。他ではなかなか知り合えない関係です。仕事に対する心構えとか、将来への課題とか、将来の展望とか…、“跡取り”の若者同士で語り合うことが、いろいろあります。
「家が塗装の会社を経営している」のは運命ですよね。子供時代から現場が生活の近くにあるし、ボクが生まれる前からうちの会社で働いている職人もたくさんいます。
それは幸せなことなんだけど、でもだからこそ、独特のやりにくさや大変さもあります。跡取りの仲間たちは、みな同じような大変さを抱えている。語り合える仲間がいることで、ホッとしますね。跡取りというのは特殊な立場なので、やはり人間関係のことをよく話します。
ベテラン職人との距離の取り方、意見の伝え方。「相手が年上でも俺は引かない」という仲間もいれば、「話を聞いて、場を改めて自分の意見を伝える」という仲間もいる。みんな、模索中です。
Chapter 3
はやく“新人の跡取り”として認めてもらいたい――。跡取りという境遇は、もちろん恵まれてもいるけれど、ならではの悩みも人知れずあります。長く友人として付き合っていけそうな、仲間たちと出会えたのは、学校のおかげです。
そういうわけで――現場にも出ていますが、営業の仕事もやっています。
現場も、営業も、見積もりも…。全部ができるようにならないと四代目として会社は継げないですよね。ボクは若いし、経験が浅い。
これから先、もっともっと会社のあらゆることを覚えていかなければなりません。人間関係の調整や経理のこと。資金繰りについて。業界の付き合いもあるでしょうし。いろいろやることがあるなあ――と気負いすぎて先を考えても仕方がないので、一つひとつ丁寧に謙虚な気持ちでやっていくつもりです。
掲載日:2019/08/30
ボクは会社の四代目――現在、絶賛!勉強、奮闘、修行中です!