Yoshida Kenta (age32)
1987年4月3日、仙台市生まれ。職人歴16年。中学卒業時に数学の先生から「物を作るのが好きならこの会社がいいんじゃないか」に紹介されて塗装の道へ。以来、オイカワ美装工業で腕を磨く。「年齢は若いが、責任感があり仕事に前向き。仕事への信頼があります」と所属の社長も、若手実力職人の技量と人柄に太鼓判を押す
INTERVIEW
1987年4月3日、仙台市生まれ。職人歴16年。中学卒業時に数学の先生から「物を作るのが好きならこの会社がいいんじゃないか」に紹介されて塗装の道へ。以来、オイカワ美装工業で腕を磨く。「年齢は若いが、責任感があり仕事に前向き。仕事への信頼があります」と所属の社長も、若手実力職人の技量と人柄に太鼓判を押す
Chapter 1
中学を卒業したときからずっと塗装の現場で働いています。持っている資格は1級建築塗装技能士。職人になるきっかけは、僕、中学を卒業するときに高校へ行きたくなかったんですね。社会に出て、自分で稼いで暮らしたかった。それを学校で話すと、数学の先生が「わかった。物を作るのが好きで、自分で働いて稼いでいきたいのならこの仕事が良いと思う」と会社を紹介してくれました。先生は、就職の面接にも一緒に来てくれたんですよね。
先生が、いろいろ僕の性格や方向性を考えて指導してくれたんでしょうね。しかも僕の場合は、先生が自宅を塗装した会社を勧めてくれたんです。自分の家を塗り替えた会社だから、現場や職人たちの仕事の雰囲気もわかって、先生も良い印象を持って、自信を持って勧めてくれたのだと思います。
以来16年、僕は卒業と同時に塗装の現場で働いています。そのなかで、いろいろな技術を身につけたくて一度会社を移って、オイカワ美装工業に入りました。今は、結婚して子供もいます。塗装はやりがいがありますよ。技術の習得には終わりがなくて面白いです。僕に向いた良い仕事を紹介してくれて、先生には本当に感謝してます。
最初の頃は、中学を出たばかりの僕にとって、やっぱり現場は厳しかったです。周りの人達は皆大人だし、優しいんだけれどそれぞれが真剣で緊張感があって、子供達が集まっている中学時代とは空気がちがいます。
Chapter 2
僕の現場は宮城県の仙台です。南の現場には南の現場の、北には北の現場の大変さがあると思うけれど、仙台は東北の中では、比較的仕事がやりやすい場所だと思います。雪もそれほど多くはないし、寒さも猛烈に厳しいというわけではない。それでもちょうど昨日が初雪でしたけれど、積もれば雪下ろしをして、乾かして、それからようやくペンキを塗れる。せっかく雪下しをして、夜の間に乾かしていると、天気予報が外れて夜中にまた雪が降って…なんてこともありますよ。
だから、冬は雪の影響を受けない室内の現場が増えます。意外と大変なのが霜なんです。
あと、仙台は風が強い日が多いんです。今日もですけど、ペンキの飛散が気になりますよね。塗っている家だけじゃなくて隣近所まで、この風向きだとどこまで飛んでいくか。よく気を配ってシートの内側にビニールを張って隙間を塞いだり、念入りに養生しています。
雪が降ってしまうと重みで養生のビニールが下がり、はがれてしまうこともあるので、そうならないように最初から地面を這わしたり、季節によって養生の形を変えたりもします。養生、刷毛、ローラー、吹き付け。いろいろな人たちに認めてもらえる腕のある職人になりたいです。終わりはありませんよね。僕は、職人には「一人前」というのはないと思っていて、いつまでも上を目指して、一生向上心を持ってやっていきたいです。
Chapter 3
家族は、子供が二人9歳と2歳の女の子と奥さん。結婚したのは23歳の時、職人として自分が責任者として現場を持てるようになった頃です。趣味は釣り。職人になる前、少年時代に父親が教えてくれました。親の仕事はガソリンスタンドです。塗装を初めた頃は、現場に行くので僕はバイクの免許もないので車で送ってもらったり、いろいろ応援してもらいました。
釣竿は20本くらい持っていますよ。淡水はブラックバス。海は船が多いですね。宮城は海が良いんです。この間の休みには塩釜港から船に乗って、狙いはイナダ、ワラサ。ホウボウと、70センチもある大きなサワラが釣れましたよ。釣った魚は自分で捌きます。
僕が釣りをするせいか、子供たちも魚が大好きなんです。刺身にしたり、焼いたり、煮たり。この間のサワラは大きかったので炙りも作りました。サワラって美味しいんですよ。
塗装の仕事についてよかったと思います。会社を紹介してくれた先生は加藤先生というのですが、じつは卒業以来、一度も会っていないんです。同窓会は、皆集まりが悪くて。
先生へメッセージを送るとしたら――「先生どうもありがとうございました。ずっと塗装の現場で働いています。今度、先生の家を塗り替える時には僕に任せてください!」
掲載日:2020/02/06
中学校の先生が勧めてくれた塗装職人という仕事。先生ありがとう。ずっと塗装を続けています